学振の申請書
年末だからね、大掃除をしていたら、学振の申請書が出てきたよ。ことしの4月頃かな、めっちゃ苦しんだのを覚えている。
申請書の作成にあたって、まあこんなルートを辿る人はあんまいないだろうなーと思うのだけど、自分のときに情報が少なくて困ったのを覚えているので、いつか他の誰かの役に立てばいいなーという気持ちで書きます。
学振申請に到るまで
通信の大学院に通っていたときに学振DC1に応募しました。
結果からいうと不採用。
でも申請書を書いたおかげで得るものも沢山あったし、
その結果として、自分の人生の優先順位もつけられました(後述)。
私の経歴としては、3年半会社勤め→転職と同時に通信の修士課程に進学というルート。
なぜ学部卒業後すぐに院に行かなかったかと言うと、単純にお金がなかったから。
そもそも大学の学費&生活費を稼ぐためにバイトをピークで4つ掛け持ちしている状態で、実家のためにもすぐ働かなければならなかったのだ。
あとは、文系で院卒は将来が怖いなというのと、就職も希望業界に決まったので、まあそのときは積極的に院に行く理由がなかったわけです。
とはいえもし環境が整っていれば研究はしたかった。
ので、研究欲を抱えながら社会人になり、わりとブラックな職場環境で体を壊し、
4年目にして定時で帰れる仕事に転職し、社会人大学生をするという選択をすることしました。
通信にしたのは、やはりお金がなかったから。笑
通信制の大学院は、月一しか研究指導がない。
私は指導教員以外に学部のときの先生にも見てもらっていたのでなんとかなったけど、それでも研究手法(統計とか方法論)は自分で学ばないといけないので結構しんどい。
ほんとに研究やりたいなーって思ったら、通信では難しいかなって思った。
しかしもうこの歳で借金重ねたくない。じゃあどうするか。学振しかない。←
研究者になりたいという人はそもそも通信には行かない人が多いため、学振の情報も一切入ってこない。まあ私が悪いんだけど。
そんなわけで、締め切りまで1ヶ月を切っている状態で、結構な長さの申請書に取り掛かりました。
(学振の情報については大学のHPにもどこにも情報がなく、問い合わせて2件たらい回しされてようやく担当につながりました。笑)
指導教員の評価書
まず最初の壁は指導教員の評価書。笑
先生がこのような書類を書いたことがないうえ、1ヶ月前でのお願いだったのでかなり怒られた。
もうね、平謝りして書いてもらいました。人によっては、自分で下書きしたのを指導教員に渡して直してもらったものを提出するらしいよ。
申請書
申請書には研究状況や研究計画を書くのだけど、これは正直修論が半分以上は進んでいる人でないと書けないと思います。
もちろん私はそんなに進んでなかったので、毎晩活蔘(栄養ドリンク)を飲み、仕事の合間に練り、九大の院に進んだ友人にアドバイスをもらい、学部の時の先生に毎日指導してもらい、なんとか書きました。
申請書は絶対人に見てもらった方がいい。で、できるだけ辛口のコメントをもらった方がいい。
私は友人と先生の助けがなければ書けなかった。感謝しかないです。
ネットには、親切にも申請書を公開してくれている人がいるので、その人たちのもとても参考にした。
私のは落ちてしまったものなのでとても公開はできないが、参考程度にはなると思うので、興味がある人には公開しようかな(とても見せられるものではないけど、文系の申請書はあんまり探せなかったので…)。
私のテーマは社会学・心理学・情報学にまたがっているものなので、うまくまとめられればよかったんだろうけど、結局どっちつかずのものになってしまったのがよくなかった。また、短時間で書いたものは今読んでもやっぱり掘り下げ方が甘いなと思う。
あと実績0で出しているので、そりゃ不採用だよなと思う。
社会人経験があることは、研究の社会的意義や自己PR欄みたいな部分を書くときには活きてきたけど、核となる研究テーマの部分の記述は、やっぱりがっつり研究に取り組んでいないと書ききれないと思う。
学振を狙うなら
もし今から学振狙う人は、M1のときから学振を目指して研究に励んでください。少なくとも申請書に書けるくらいは進めておかないといけない。そしてどんどん学会発表しましょう。あと、先輩や先生とのつながりは大切にしておきましょう。孤立無援で書ける書類ではない!
申請書を書き上げて
約1ヶ月苦しみながら書類を書き上げたわけなんだけど、これ書くと博士課程のテーマも自ずと決まってくる。
私みたいにあんまり進んでない人は、否が応でも研究が前進すると思う。
学振当たれば月20万だよ!
もしかしたら3年間月20万もらえるかもしれないんですよ。死ぬ気でトライする価値はあると思う。
私は仕事を辞めて研究に専念したい一心で書き切った。
でもそのおかげで、自分の原問題を見つめなおしたり、博士で調査を行うためにどこまで研究を進めなければいけないのかとか、いろんなことを整理することができた。書いてよかったよ。
不採用を受け取って
やー、わかってたけど凹む。なんか、お前の研究は社会的に価値がないぜって言われた気分になる。落ちるのわかってても、不採用って言葉はちょっときついね。
あと、ショックと同時に思うのは、「自腹で博士進んだら3年間で250万かー」ということ。28にもなって結婚までして250万払って研究すべきか?と考えたら、かなり悩む。もはや起業した方がいいんじゃないだろうか。
悶々と考えた末にね、博士進学は先延ばしにして、仕事しながら研究は個人的に続けたらいいじゃんって思ったら、一気に気が楽になった。
さらにこんなことを思った。
「あ、やった子ども産める」
自分でも意外だったけど、博士を諦めて最初に浮かんできたのは、そのことだった。
私ってこんなにも子ども欲しかったんだということに気づけた。
実は博士進学後のキャリアを考えたら、子どもをいつ持てるかという見通しが全く立たなかった。下手すると産むタイミングを逃していたかもしれない。
今までは博士に行ってしっかり研究するんだーという気持ちでいっぱいいっぱいだったけど、学振不採用という結果がそこに穴を空けてくれたおかげで、心の奥底で考えていたことに気づくことができた。
もし学振に出さなければ、マスターのときと同じく社会人大学院生を継続する道を選んでいたと思う。
で、ドクターに行ったときに、ほんとは今子ども産みたかったな、とか思っていたかもしれない。学振の申請書に一生懸命取り組んで、その結果不採用だったことが、私にとっては幸いだったように思えます。
学振、めーっちゃ書くこと多いし大変だったけど、出してよかったです。
まとめ
・準備は1月から。実績はその前にガンガン作るべし。
・申請書はわかりやすく、読みやすく。太字や斜線などの効果は、本当に必要な部分だけに限るべし。
・絶対人に見せること。そして辛辣な意見を積極的に求めること。
・学振は落ちるもの。学振に落ちても研究を否定されたわけではない
・博士行くことを迷っている人ほど、学振に応募すべき。
理系は個人で研究するのって難しいのかなと思うけど、文系だとそこまで大変なことではないです。
学術とのつながりを作れたことや、研究を見てくれる人に出会えたことは、すごく大きな財産になっています。研究者の職にこだわらないほうが、楽しく研究できるかもしれません。
*ちなみに指導教員、学部の時の先生、九大の友達も学振は取っていない。それくらい学振は難しいものなのだ。落ちた時はやっぱり凹むけど。
*学部の先生は「俺だって研究費取れる研究できるまで時間かかったよ」って言ってました。
*ちなみに指導教員は週の半分以上国内外を飛び回っていて、外部との仕事も多かったので、学振の指導は望めなかった。指導教員との相性もあるが、通信の場合、密に指導してもらえるかどうかは入学前にきちんと調べた方がいい。
*社会人大学(院)生は想像より大変でした。笑 でも今となってはいい経験。
*正直文系のポストは減ってきているし、大学側も産官学連携を推進してきている。
社会人を経て研究者を目指すルートもあるよって、けっこう色んな人が言っています。